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October 05, 2006

「現代デザイン論」第二課題

続けて書きます...
うちに帰ったら、「現代デザイン論」の第二課題の添削結果が返ってきてました。
この課題では以下の4つの評価ポイントがあるんですが、そのうちの2つがA評価でした。("A"って、久しぶり!!)
「文章表現の正確さ」と「論点の整理と構成」が今ひとつだったけど、「独自の観点」と「資料の活用」が評価対象になったみたい。資料の活用という点については、図書館通いや購入した本(ほとんどが積まれたままですが)のお陰ですかね。

と言うことで、ちょっと長いですが、いつものようにレポート掲載しておきます。参考にしてみてください。(反面教師?)

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「現代デザイン論」(第二課題)

■ デザインの社会・時代との関わりについて
 20世紀は、デザインが多種・多様化していった時代であったと言えよう。 特に第二次世界大戦(太平洋戦争)以降の20世紀後半は、日本において、「デザイン」という言葉だけでなく、「デザインする」という行為自体が確立した時代と言っても良いだろう。  
 参考文献『常用デザイン』のなかでは、「20世紀はデザインの創成期であった。誕生して、成長して、ちょうど少年期を終えた辺りだ。中でもグラフィックデザインの成長の歴史が判りやすい。」と記載されているが、グラフィックデザインに焦点をあてて、デザインの社会とのかかわり、および時代との関係を考えてみたい。  
 グラフィックデザインと社会・時代との関係を考えるとき、2つの組織が思い当たった。 一つは日本工房であり、もうひとつは日本宣伝美術会である。  日本工房は、ドイツで報道写真家となった名取洋之助が主宰し、木村伊兵衛、原弘、岡田桑三、伊奈信男らが同人として参加して、1933年に設立された。同人たちはのちに脱退したが、名取は日本工房を再建する。再建後に一員となった亀倉雄策の「極端な言い方をすれば日本工房は図案とか広告とかそういう概念を一蹴し、まったく隔絶したデザインという新しい分野に対して活動を開始したといえよう」という言葉にあるように、写真を視覚的構成要素として捉え、再構築するという近代的デザインが実行された。 しかし、日本工房にはもう一つの側面があった。それは、戦時中という時代情勢を反映するかのように、対外宣伝誌の編集・制作という、内閣情報局と陸軍報道部との間で下請け作業的な役割を果たしたということである。戦争の時代において、日本工房は、「国際報道工芸」、「国際報道」と名前を変えていくのであるが、それは“報道工芸”をこの世に残すための苦汁の選択であったかもしれない。
 同時期を示した亀倉の言葉がある。
「いよいよ戦争は深刻化し、満州に大きく火をはくこととなってしまった。ここまでくると国民の力を結集しなければどうにもならないと政府は宣伝にやっきとなった。(中略)この指揮下に入らなければ一介の労働者として工場に徴用された。徴用か兵役のどっちかがデザイナーたちの前にたちふさがったのである。」
 日本工房は、戦前の日本へ本格的なデザインの思想を取り入れるとともに、戦争とデザインとの関わりにおいて、負の一面を表した存在ともいえるだろう。

 戦前の日本工芸が、ドイツ工作連盟などのヨーロッパのデザイン運動に影響を受けたとすれば、戦後の日本はアメリカの占領下という環境から、アメリカの工業デザインに強い影響を受けたと言えよう。
 そのような状況のもと、山名文夫、河野鷹思など7名が世話人となり、日本宣伝美術会(日宣美)が1951年に発足した。  
 日宣美は、宣伝美術に対する社会的認識の強化、職能地位の確立、著作権の擁護、および生活の相互補助を目的として結成された職能団体であった。 創設と同じ年に、初の展覧会が開催され、以後、毎年開催されることになった。
 この展覧会は、当初は会員作品のみの展示であったが、1953年から公募作品も展示されるようになり、新人デザイナーの登竜門的な色合いが次第に濃くなっていった。
 日宣美の活動中であった1955年、日宣美主要メンバー7人に加え、ポール・ランドを招待作家として加えた展覧会「グラフィック‘55」が開催された。この展覧会と日宣美の公募展との違いは、出展作品の多くが実際の広告物として印刷されたポスターや、書籍、雑誌などで構成されていることであった。展覧会のための作品と日々のデザインワークの中で生み出された作品との違い。参考文書「デザイン史を学ぶ クリティカル・ワーズ」では下記のような一文がある。
 「印刷物として複製を前提にしたデザインは、製版・印刷のプロセスを経て、はじめて完成とみなすことができ、作品に対するリアリティをいかなるレヴェルに求めるか、という問いかけを根底に含んでいたと考えられる。」
 日宣美展への応募者はグラフィックデザイナーに憧れて応募するが、その憧憬である審査員たちはグラフィックデザイナーではないというジレンマ。日宣美が持つデザイン界における権威や影響力が大きくなっていくが、逆に画一化されたスタイルとして制度化した展覧会の内容が危惧され、批判の声も強くなっていった。そして、日宣美粉砕共闘の批判運動を発端に、日宣美内部での議論を経て、1969年に解散となった。
 日米安保闘争などの時代背景とも重なり、単なるデザイナー同士の協会という位置付けに収まらず、権力の象徴と捉えられたことは、日本工房とは全く違った立場であったが、時代という潮流に振り回されたという点では印象的な存在(出来事)であったと言えるだろう。

■ 現代におけるデザインの果たす役割について
 一般の視聴者・読者を対象としたテレビ番組や雑誌でも、プロダクト、グラフィック、建築など異なる分野に捉われることなく、デザイン、あるいはデザイナーの特集が組まれるようになった。
 10年位前は、デザインと言えば、その分野に携わる者のみを対象とした専門書しかなかったように思える。コンピュータを使ったデザインワークの本についても、そもそも一般ユーザレベルで扱うことができるソフトウェアの種類が少なかったため、同様の状態であったような記憶がある。
 しかし、コンピュータの一般惣への普及とともに、高度なデザインのテクニックの一部をコンピュータが肩代わりすることとなり、加えて現在は一般メディアがデザインという領域(あるいは、単にデザイナーという職種)を取り扱うようになったため、一般層への浸透度は高くなる一方である。
 このようにデザインがもてはやされる風潮を、日本人特有の過渡的な現象の表れとして捉えてよいであろうか。
 ここに「デザイン」の発展に対するキーポイントがあるように思える。デザインとは元々は特別な行為ではなかったからである。

 ところで、デザインと言っても、モノを設計するという意味でのデザインワークに関わってきた自分としては、プロダクトが果たす「機能・性能」という面に特に注視してきた部分がある。
 まず、顧客は要求する機能なり、性能なりが達成しなければ、プロダクトとしての存在理由が問われるのではないかというのが自分の考えの根底になった。

しかし、近年の技術進歩では、企業間の技術格差はほとんど無い状態となってしまった。したがって、従来はプロダクトにおける差分の指針であった機能・性能も、それ程の違いは無い。そこで、プロダクトに対して差分を持たせるための新しい要素が必要となった。
 それは広義の意味での「ソフトウェア」であった。実は差分がほとんど消失したのは、プロダクトの中で使用している部品のせいである。例えば、ウィンドウズのパソコンのほとんどにインテル製のプロセッサとチップセットが搭載されている。「ハードウェア」が同一となってしまえば、何を持って差分とするか。
 プロダクト(=ハードウェア)を動作させるための機能を持つソフトウェアであり、加えて、プロダクトに「魅力」という付加価値与えるソフトウェア(=デザイン)がその役割を果たすであろう。「広義のソフトウェア」と述べたのは、デザインもソフトウェアを位置付けたからである。
 ここに、デザインの重要性が込められているように思える。

 「グローバリゼーションの果たした役割は、デザインは世界戦略の要ということを企業が認識したことだった。その国の風土に合わせるデザイン上の微調整は必要であるが、デザインは一種の共通言語として活用できることが実証された意義は大きい」この言葉にあるように、「デザイン」を前面に打ち出した多くのプロダクトが出現することとなった。
 また、前回のレポートでも記載したが、「情報化時代のデザインは、デジタルとアナログの間、いや技術の進化と人間の皮膚感覚との間で格闘をし始めている」(6)とすれば、一般メディアに取り上げられない無名のデザイナーの存在と彼らが有するスキルが、日本のデザインを支えていると考えても良いのではないだろうか。

■引用した参考文献
(1)南雲治嘉著「常用デザイン」グラフィック社、2004年、108ページより
(2)藤田治彦著「現代デザイン論」京都造形芸術大学発行、1999年、136ページより
(3)亀倉雄策著「gggBooks別冊 亀倉雄策」トランスアート社、2006年、37ページより
(4)橋本優子・菅谷富夫・肴倉睦子編「デザイン史を学ぶ クリティカル・ワーズ」フィルムアート社、2006年、186ページ
(5)南雲治嘉著「常用デザイン」グラフィック社、2004年、93ページより
(6)竹原あき子・森下明子監修「[カラー版]日本デザイン史」美術出版社、2003年、140ページより

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