« 11/27から専門スク開始 | Main | スク最終日(11/29)終了 »

November 28, 2009

スク二日目終了&「身体デザイン論」第二課題の添削結果

専門スク「ディスプレイ基礎」も二日目が終了しました。
一日目に頭のトレーニングとして第一課題の制作と合評を行ったのに続いて、二日目は第二課題のスタート。
途中で思考が嵌りモードになり、時間が浪費するのみ...
なんとかリカバリしてますが、その分、無難(あるいはイマイチ!?)な作品になりそうな気配が。
さて、最終日はどうなることやら!?

ところで、「身体デザイン論」の第二課題の添削結果が返ってきましたよ。
ちなみに各項目の評価はこんな感じ。

■ テキスト理解度:S
■ 自己体験・視点:S
■ 文献調査   :A
■ 文章構成   :A

田舎者の恥ずかしい記憶を引用したのが良かったのかなあ〜(笑)
様々な文献を引用して考察しているというコメントでしたが、「文献調査」の評価が...

---
1. はじめに
 秋田の片田舎で生まれ育った私には、高専時代はファッションというものには無縁であった。高専在学中の1980年代の前半と言えば、日本の都市部ではストリートファッションとしてDCブランドやカラス族が流行していた時代であるが、周囲の同級生もファッションには無頓着で、私はというと手持ちの少ないお金を映画館に行くために使っている状態であった。
 そのような私であっても、テレビなどのマスメディアや百貨店などの店舗のウィンドウディスプレイを通じて、幾つかのファッションブランドを知っていた。つまり、その当時でファッションと言えば、そのようなブランドを通じて認知という部分が大きかったように思える。
 日本だけでなく全世界に通用するブランドを生み出し、単に衣服や装飾品を作るだけではなく、いかに売るのかという部分へのシステム化や、同じデザインの衣服を複数のサイズで大量生産するという産業化を行ったことが20世紀ファッションの特徴ではないだろうか。そして、そのファッションシステムは、製造、流通、メディア、教育などの複合体で成り立ち、衣服をハンドメイドからレディメイドへと置き換える原動力にもなったと言えるのではないだろうか。

2. ファッションシステム
 そもそも、ファッションとは何であろうか。
 テキストでは「身体を分節化する文化的実践」(1)と述べており、また、別の文献では以下のように述べている。

 ファッションとは新鮮な”いま”という一瞬であると同時にじわじわと浸透して行く継続する厚みを持ち、他者との差異化の手段であると同時にそれを模倣する集団がなくては成り立たないという、多様性と矛盾を孕んだ自己同一性(自分らしさ)獲得の願望だということになる。(2)

 メディアなどを介して得た情報から、ある時にはそれと同じ服装をしたいと思いつつ、その一方でみんなと同じではつまらないというも思う。そのような他人との協調による安心感と、差別化による優越感という二つの気持ちが存在することでファッションが成り立っているのである。
 そしてテキストでは、ファッションという産業は「未来の身体をつくりだそうとするシステム」(3)であると述べる。
 そのシステムは、流行を生み出すことで「未来の身体」=新しいファッションを世に広めようとしている。現在から未来へと進んで行くなかで、流行を絶えず生み出しつづけることと、流行を一過性とせずに継続させることではどちらが困難なのかと考えさせられる部分もあるが、20世紀はファッションがシステムとして成立したことにより、前者のように次の流行を切れ目無く発生させることでシステム自体が継続することを選んだと言える。
 その結果、ファッションデザイナーは形を生み出し、ファッション雑誌はイメージを印象づけようとしたのである。

 したがって、ファッションは実際にそれを着る消費者と流行を仕掛ける作り手や売り手との相互作用から生まれてくるわけである。(4)

 作り手側には流行を生み出すファッションデザイナーという存在がいる。そして、売り手側には直接の売り手では無いが、流行を仕掛けるメディアという存在がいる。ファッションシステムを構成する要素は数多く存在するが、ファッションデザイナーとファッション雑誌のようなメディアはシステムを牽引する両輪と言えるのではないだろうか。
そのような観点で言うと、20世紀ファッションにおけるファッション雑誌「ハーパース・バザー」や「ヴォーグ」の果たした役割は大きかった。
 そのファッションを身に付けたら自分がどのように変化するのかというイメージを読者へ視覚的に与えるために、ファッション写真という一つのジャンルを生み出したのも、これらの雑誌の成果であろう。

3. ファッションと都市
 ファッションデザイナーという存在の先駆者として、成実弘至はチャールズ・ワースとリーヴァイ・ストラウスを挙げている。
 19世紀に登場した彼らは、一方はオートクチュールへの繋がるファッションハウスを築き、他方はやがてリーヴァイス・ジーンズとして知られるようになるワークパンツの生産を行うという、ファッションにおいては対極の存在であった。

 ハイファッション(高級服)とマスファッション(大衆服)というふたつの世界はかつて遠く離れていたが、いまや限りなく接近し、ほとんど一体となっている。二〇世紀ファッションの流れを見ると、異質な人々や文化が出会い、混合し、統一されていく様子がわかる、(5)

 当初は、ファッション自体も、それぞれの都市の特色を残していた。
 例えば、パリであれば、類似性を嫌った独創性を重んじるオートクチュールの流れを保ち、東京であれば、他人と異なることを好まず、周囲に気を配るという気質から集団的ブランド志向を反映していた。しかし、20世紀は、二つの世界大戦やベトナム戦争などの戦争を経験したことで、皮肉なことに通信や輸送などの技術革新が進み、また、戦争と言う行為への反発として芸術を始めとして様々な文化が生まれたと言えよう。

 20世紀は、多くの国で大衆消費社会が実現し、ファッションが世界を巻き込んで、社会的な現象というべき極めて重要な動きを見せた。そのとき、それまでの枠組みに押さえつけられない新しいアートを模索していたパリ以外のそれぞれに個性的な都市でも、衣服デザインがその中に組み込まれ、それぞれの都市の文化的な特徴を背景として、新しい衣服が生み出されたという事実。(6)

 そのような技術や文化を素地として、国や特定の地域だけに限定された衣装が、世界的な流行によって一色に塗りつぶされていった。
 パリ、ミラノ、ニューヨーク、そして東京などの大都市が存在し、その都市で生まれたファッションが、メディアと融合することで流行を生み出ていった。それらの都市は言わば世界のファッション基地なのである。それらの都市の緩やかな連携によって、それぞれの都市が先鋭的な特徴を持ちながらも、どこかに画一性を併せ持つという一面であった。それがファッションを万人が共有できた理由ではないだろうか。

 1920年代の簡素なモードは模倣しやすかったとも言え、パリ・オートクチュールの作品は世界中でコピーされ、言い換えれば、流行を生み出すようになった。(7)

 ベンヤミンは、複製技術によるアウラの喪失を著書で述べているが、ファッションの場合には複製という行為によって、オーダーメイドの、言わば個人の手作業による芸術品・工芸品が一般大衆の元へと降り立ったと言える。

4. おわりに
 ファションデザイナーの山本耀司のブランドが会社更生法を適用されたニュースを読んで驚きを憶えた。
 山本耀司と川久保玲は、外国人デザイナーが初めて参加出来るようになった1981年のパリコレクションへ登場し、「それまでの流行の中心だったブルジョワ向きのシャネル、サン・ローラン、ディオールなどを、最先端で荘厳、かつ圧倒的なモノクロームのパワーで打ち負かした」(8)と言う。
 それは、西洋の模倣という形で洋装化が進み、第二次世界大戦の敗戦によって更に西洋との画一化が進む中で、ファッションに対する独自の視点でのアプローチであった。彼らのデザインした服を着ることはなかったが、憧れのような気持ちを抱いた時期もあった。
19世紀から始まった「産業改革」という産業化という流れは、機械というハードウェアを得ることで世界を変革させたが、20世紀はファッションなどの文化が世界を席巻したといえよう。
 ファッションは衣服などの形状を有するが、それは人間の思想や嗜好などを具現化したものであり、ある意味ソフトウェアと考えることができるだろう。従って、20世紀において、ファッションが産業として成立し、メディアを介して世界中への伝搬していったことは、メディアの進化によって情報社会へと変貌を遂げる中で当然の成り行きであったと言えそうである。
 そして、21世紀は、そのメディアの進化により、従来はマスメディアのみが発信していた情報を、個人が発信出来る状況になったことによって、ファッションシステムの在り方も変化し続けるのである。
(3326文字)

(1)「モードと身体—ファッション文化の歴史と現在」成実弘至著、京都造形芸術大学、2003年、228ページ
(2)「東京・パリ・ニューヨーク ファッション都市論」南谷えり子・井伊あかり著、平凡社、2004年、25ページ
(3)前出「モードと身体〜ファッション文化の歴史と現在」、228ページ
(4)前出「モードと身体〜ファッション文化の歴史と現在」、213ページ
(5)「20世紀ファッションの文化史ー時代をつくった10人」成実弘至著、河出書房新社、2007年、12ページ
(6)「ファッションの世紀 共振する20世紀のファッションとアート」深井晃子著、平凡社、2005年、4ページ
(7)「世界服装史」深井晃子監修、芸術出版社、1998年、151ページ
(8)「ヴァジョナリーズ ファッション・デザイナーたちの哲学」スザンナ・フランケル著、ブルース・インターアクションズ、2005年、170ページ

■参考文献
・「モードと身体〜ファッション文化の歴史と現在」成実弘至著、京都造形芸術大学、2003年
・「東京・パリ・ニューヨーク ファッション都市論」南谷えり子・井伊あかり著、平凡社、2004年
・「ストリートファッション 若者スタイルの50年史」アクロス編集室編、パルコ出版、1995年
・「20世紀ファッションの文化史〜時代をつくった10人」成実弘至著、河出書房新社、2007年
・「ファッションの世紀 共振する20世紀のファッションとアート」深井晃子著、平凡社、2005年
・「世界服装史」深井晃子監修、芸術出版社、1998年
・「ヴァジョナリーズ ファッション・デザイナーたちの哲学」スザンナ・フランケル著、ブルース・インターアクションズ、2005年
・「ベンヤミン「複製技術時代の芸術作品」精読」多木浩二著、岩波書店、2000年

« 11/27から専門スク開始 | Main | スク最終日(11/29)終了 »